環境事業は、これから成長が期待される分野ですが、
どんな想いでエンビプログループを創業されたのでしょうか。
代表取締役社長 佐野富和(以下「佐野」) : 私は創業者ではありません。この事業は父がスタートさせたもので、私は二代目になります。父は祖父が作った借金を抱えマイナスからの状態でスクラップ業を立ち上げました。金属スクラップ、製紙原料、古布、ビンくずなどを扱う佐野マルカ商店がエンビプログループの始まりです。
幼い頃から鉄くずや紙くず、ボロくずに囲まれて育った私は、「ボッコ屋の富和くん」と言われ、子供心に劣等感を持ち、我が家はなんでこんな仕事をしているのかと恨みがましく思ったこともありました。
そんな私が中学3年の時、ある出来事をきっかけに、家業を継ごうと決心することになりました。それは、夕食時に父に私が生徒会長に選ばれたことを伝えた時です。父は突然泣き出し、「オレみたいな人間におマエみたいな子供ができてうれしい」と私が生まれ育ったことを心の底から喜んでくれたのです。その時の父と、隣で伏し目がちのまま座っていた母・・・今でも目をつむると、その時の情景を思い浮かべることができます。
私はこの瞬間から、私の成長と存在を泣いて喜び感謝さえもしてくれる父を喜ばせるために生きようと心に決めました。その最大のものは、父親が遠慮がちながらも望んでいた家業を継ぐということでした。結果として私は15歳で自分の職業を決めたことになります。もっともそれは、職業として選んだのではなく、両親を喜ばせる手段が、この仕事に就くということだったからですが・・・。
- 閉鎖した鋳造所の競売物件を一山買した初代
- 「ボッコ屋の富和くん」と言われていた頃
(向かって左から3番目)